健康経営で離職率は改善する?離職防止と人材定着につながる実践方法
人材不足が続く中、「採用しても従業員が定着しない」「休職や離職を減らしたい」と悩む企業も少なくありません。
給与や待遇の見直しも重要ですが、従業員の離職には、心身の不調、職場の人間関係、働き方、仕事と育児・介護との両立など、さまざまな要因が関係しています。
そこで重要になるのが健康経営の視点から離職防止を考えることです。
健康経営では、健康診断やストレスチェック、従業員アンケート、勤怠データなどから従業員の健康課題や職場環境を把握し、必要な対策を行います。
ただし、健康経営に取り組めば自動的に離職率が改善するわけではありません。
大切なのは、「なぜ従業員が働き続けにくくなっているのか」を見える化し、その原因に合った施策を実施することです。
本記事では、健康経営と離職率の関係から、離職防止・人材定着につなげるための具体的な取り組み、KPIを活用した効果検証まで分かりやすく解説します。
目次
1.健康経営は離職防止につながるのか
1-1.健康経営は「働き続けられる環境」をつくる取り組み
健康経営というと、
- 健康診断
- 運動イベント
- 健康セミナー
- 食生活改善
- メンタルヘルス対策
などをイメージする方も多いでしょう。
しかし、本来の健康経営は健康施策を実施するだけのものではありません。
従業員の健康保持・増進を経営的な視点で考え、従業員が健康で能力を発揮し続けられる環境をつくる取り組みです。
そのため、
健康課題の把握
↓
職場環境や働き方の改善
↓
従業員が働き続けやすくなる
↓
人材定着につながる
という流れをつくることができれば、健康経営は離職防止にもつながります。
1-2.「健康経営=離職率改善」とは限らない
注意したいのは、健康経営に取り組めば必ず離職率が下がるわけではないことです。
離職には、
- 給与・待遇
- キャリア
- 人間関係
- 業務内容
- 労働時間
- 心身の健康
- 育児・介護との両立
など、さまざまな要因があります。
健康セミナーや運動イベントを増やしても、離職の原因が上司とのコミュニケーションや長時間労働にあるのであれば、十分な改善にはつながりません。
だからこそ、最初に必要なのは離職につながっている課題を把握することです。
2.離職につながる健康・職場の課題
2-1.メンタルヘルス不調
離職防止を考えるうえで重要な健康課題の一つが、メンタルヘルスです。
ストレスが高い状態が続けば、
- 仕事への意欲が低下する
- 集中できない
- 欠勤が増える
- 休職する
- 働き続けることが難しくなる
といった問題につながる可能性があります。
ストレスチェックを実施するだけではなく、高ストレスの背景にある職場環境や業務上の課題を把握し、改善につなげることが重要です。
2-2.長時間労働や睡眠不足
残業時間や休日出勤などによって十分な休息が取れない状態が続けば、心身への負担が大きくなります。
また、睡眠不足によって、
- 疲労が取れない
- 集中力が低下する
- ミスが増える
- 仕事への意欲が低下する
といった影響が生じる可能性もあります。
睡眠セミナーなど個人への働きかけだけでなく、労働時間や業務量など、職場側の要因も確認する必要があります。
2-3.体調不良によるプレゼンティーイズム
出勤していても、心身の不調によって本来のパフォーマンスを十分に発揮できていない状態を「プレゼンティーイズム」といいます。
例えば、
「肩や腰が痛くて仕事に集中できない」
「睡眠不足で午後になると仕事が進まない」
「ストレスが強く、判断力が低下している」
といった状態です。
この状態を放置すると、本人の負担だけでなく、仕事への満足度や働き続ける意欲にも影響する可能性があります。
2-4.仕事と介護の両立
40代、50代を中心に注意したいのが、親などの介護と仕事の両立です。
介護が始まると、
- 通院の付き添い
- 介護サービスの手続き
- 家族との調整
- 介護費用への不安
- 親からの急な連絡
などによって、時間的・精神的な負担が増えることがあります。
さらに、会社へ介護について相談できず、一人で抱え込んでしまう従業員もいます。
特に管理職や経験豊富な中核人材が介護を理由に離職すると、本人だけでなく企業にとっても大きな損失となります。
そのため、介護離職防止も健康経営・人材定着を考えるうえで重要なテーマです。
3.健康経営で離職防止につなげる5つのステップ
STEP1.従業員の健康課題を見える化する
まず、自社の従業員がどのような課題を抱えているのかを把握します。
活用できるデータには、
- 健康診断
- ストレスチェック
- 従業員アンケート
- 勤怠データ
- 残業時間
- 有給休暇取得状況
- 欠勤・休職状況
- プレゼンティーイズム
などがあります。
例えば、
「特定部署で高ストレス者が多い」
「40代・50代で仕事と介護に不安を感じる従業員が多い」
「睡眠不足を感じている従業員が多い」
など、自社の特徴を把握します。
離職率だけを見るのではなく、離職に至る前にどのような問題が起きているのかを見える化することがポイントです。
STEP2.離職につながる原因を分析する
次に、把握した健康課題と離職との関係を整理します。
例えば、
高ストレス
→ 心身の不調
→ 欠勤・休職
→ 離職
長時間労働
→ 睡眠不足・疲労
→ プレゼンティーイズム
→ 働き続ける意欲の低下
親の介護
→ 心身・時間的負担
→ 仕事との両立困難
→ 介護離職
というように整理します。
離職率という結果だけを見るのではなく、そこに至るまでの過程を把握することで、必要な施策が見えやすくなります。
STEP3.課題に合った施策を実施する
原因が分かったら、それぞれの課題に合った対策を行います。
メンタルヘルスが課題の場合
- 相談窓口の整備
- 管理職研修
- コミュニケーション改善
- 職場環境改善
- 高ストレス者へのフォロー
長時間労働・睡眠が課題の場合
- 業務量の見直し
- 残業時間の管理
- 休暇取得促進
- 睡眠に関する情報提供
- 働き方の改善
仕事と介護の両立が課題の場合
- 介護に関する従業員教育
- 両立支援制度の周知
- 介護相談窓口
- 管理職への教育
- 柔軟な働き方の整備
重要なのは、他社で行われている施策をそのまま導入するのではなく、自社の離職要因に合った施策を選択することです。
STEP4.KPIを設定する
施策を実施した後は、その効果を確認するためのKPIを設定します。
離職防止に関連する指標として、
- 離職率
- 欠勤日数
- 休職者数
- 高ストレス者割合
- プレゼンティーイズム
- エンゲージメント
- 有給休暇取得率
- 相談窓口利用状況
- 両立支援制度の認知率
などがあります。
ここで重要なのは、離職率だけをKPIにしないことです。
離職率は最終的な結果として現れる指標です。
その前段階となる、
健康状態
→ 働きやすさ
→ パフォーマンス
→ 働き続ける意欲
なども確認することで、施策の効果を早い段階から把握しやすくなります。
STEP5.定点観測して改善する
健康経営による離職防止は、一度施策を実施して終わりではありません。
例えば、
健康課題を把握
↓
離職要因を分析
↓
改善施策を実施
↓
KPIで効果測定
↓
課題を再分析
↓
施策を改善
というサイクルを継続します。
同じ指標を定期的に確認することで、
「高ストレス者が減っている」
「プレゼンティーイズムが改善している」
「介護制度の認知率が上がった」
などの変化を把握できます。
こうした変化を継続的に確認することが、健康経営を離職防止や人材定着につなげるポイントです。
4.離職防止のために企業が注意したいポイント
4-1.離職率だけを見ない
「離職率を下げる」という目標だけでは、具体的に何を改善すればよいのか分かりません。
重要なのは、
なぜ辞めるのか
だけではなく、
辞める前に何が起きていたのか
を見ることです。
例えば、
- ストレスが高まっていなかったか
- 欠勤が増えていなかったか
- 残業時間が増えていなかったか
- エンゲージメントが低下していなかったか
- 家庭との両立に悩んでいなかったか
などを確認します。
離職につながる兆候を早期に把握できれば、離職する前に支援できる可能性が高まります。
4-2.全従業員に同じ対策をしない
健康課題や働き方は、年代、職種、部署、役職などによって異なります。
例えば、
若手社員ではメンタルヘルスやキャリアへの不安、
中堅社員では仕事量やマネジメント負担、
40代・50代では自身の健康に加えて親の介護、
といったように課題が異なる場合があります。
可能であれば、全社平均だけでなく、年代別・部署別などでも状況を確認し、必要な支援を検討します。
4-3.制度をつくるだけで終わらせない
企業が両立支援制度や相談窓口を整備していても、
「制度を知らない」
「利用方法が分からない」
「上司に相談しづらい」
「利用すると評価に影響しそう」
と従業員が感じていれば、十分に活用されません。
制度を整えるだけでなく、
知っている → 相談できる → 利用できる
状態までつくることが重要です。
5.離職防止を健康経営の成果につなげる
健康経営による離職防止では、健康施策と経営成果の関係を意識することが重要です。
例えば、
従業員の健康課題を見える化する
↓
高ストレス・睡眠不足・介護負担などを把握する
↓
原因に応じた施策を実施する
↓
プレゼンティーイズムや働きやすさを改善する
↓
従業員が能力を発揮しやすくなる
↓
人材定着につなげる
という流れです。
「健康セミナーを実施した」「健康経営優良法人の認定を取得した」という取り組みだけで評価するのではなく、従業員の状態がどのように変わったのかまで確認します。
健康経営を人材定着という経営課題の解決につなげることが大切です。
FAQ
Q1.健康経営に取り組むと離職率は改善しますか?
健康経営に取り組むだけで必ず離職率が改善するわけではありません。しかし、従業員の健康課題や職場環境を把握し、離職につながる原因に応じた対策を行うことで、働き続けやすい環境づくりや人材定着につながることが期待できます。
Q2.離職防止のために健康経営では何から始めればよいですか?
まず、健康診断、ストレスチェック、従業員アンケート、勤怠データ、欠勤・休職状況などから、自社の健康課題や職場の課題を把握します。離職率という結果だけでなく、離職に至る前に何が起きているのかを見ることが重要です。
Q3.離職防止にはどのようなKPIがありますか?
離職率だけでなく、高ストレス者割合、プレゼンティーイズム、欠勤・休職、エンゲージメント、有給休暇取得率、相談窓口利用状況などがあります。複数の指標から離職につながる変化を把握することが重要です。
Q4.健康経営で職場環境を改善するにはどうすればよいですか?
ストレスチェックや従業員アンケートなどから課題を把握し、長時間労働、コミュニケーション、業務量、マネジメントなどの問題を分析します。そのうえで、自社の課題に応じた改善策を実施し、継続的に効果を確認します。
Q5.仕事と介護の両立支援は離職防止につながりますか?
親などの介護を理由に仕事との両立が難しくなる従業員もいるため、介護に関する情報提供、相談体制、両立支援制度の周知、管理職教育などは重要です。制度を整備するだけでなく、従業員が早い段階で相談できる環境をつくることがポイントです。
まとめ
健康経営は、従業員の健康づくりだけを目的とするものではありません。
従業員が心身ともに健康で働き続けられる環境を整えることで、人材定着や生産性向上などの経営課題につなげていくことが重要です。
離職防止を進める際には、
健康課題の見える化
↓
離職につながる原因の分析
↓
課題に合った施策
↓
KPIによる効果測定
↓
継続的な改善
という流れで取り組みます。
特に重要なのは、離職率という結果だけを見るのではなく、高ストレス、プレゼンティーイズム、欠勤・休職、エンゲージメント、仕事と介護の両立など、離職に至る前の変化を捉えることです。
従業員が「辞めてから」原因を考えるのではなく、「働き続けにくくなっている兆候」を早期に把握して対策することが、健康経営による離職防止・人材定着につながります。
「辞めてから」ではなく、「辞める前」の課題を見える化しませんか?
「離職率を改善したいが、原因が分からない」
「健康経営に取り組んでいるが、人材定着につながっているか分からない」
「メンタルヘルスや仕事と介護の問題を抱えている従業員を早期に把握したい」
このようなお悩みはありませんか?
株式会社ハンドレッドライフでは、健康診断、ストレスチェック、従業員アンケートなどを活用した健康課題の見える化を起点に、プレゼンティーイズムや仕事と介護の両立など、従業員が働き続けるうえでの課題を整理し、健康経営の推進をサポートしています。
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