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健康経営で離職率は改善する?労働生産性向上につながる実践方法

健康経営で離職率は改善する?労働生産性向上につながる実践方法

「健康経営に取り組んでいるものの、離職率や労働生産性の改善につながっている実感がない」と感じている企業は少なくありません。その原因は、健康経営を福利厚生の充実やイベントの実施にとどめてしまい、従業員の健康課題を十分に把握できていないことにあります。

健康経営の本質は、従業員の健康課題を見える化し、その改善を経営課題の解決につなげることです。健康課題を放置すると、プレゼンティーイズム(出勤していても十分なパフォーマンスを発揮できない状態)や休職・離職の増加、人材不足の深刻化など、企業経営に大きな影響を及ぼします。

本記事では、健康課題が離職率や労働生産性に与える影響を解説するとともに、健康課題の見える化からKPI設定、改善施策まで、健康経営を成果につなげる実践方法を分かりやすく紹介します。

第1章 健康経営で離職率が改善する理由

健康課題は経営課題である

健康経営は、従業員の健康づくりを目的とした福利厚生ではありません。健康課題を経営課題として捉え、企業の持続的な成長につなげる経営戦略です。

例えば、睡眠不足や生活習慣病、メンタルヘルス不調などの健康課題を抱えた従業員は、集中力や判断力が低下し、業務効率が落ちやすくなります。その状態が続くと欠勤や休職だけでなく、最終的には離職につながる可能性があります。

さらに、離職者が増えることで採用コストや教育コストが増加し、残った従業員への業務負担も大きくなります。その結果、職場全体のモチベーション低下やさらなる離職を招くという悪循環に陥ることも少なくありません。

つまり、健康課題は個人だけの問題ではなく、企業全体の生産性や人材定着に大きく影響する経営課題なのです。

健康経営は福利厚生ではなく経営戦略

「健康経営=ウォーキングイベントや健康セミナー」と考えられがちですが、それだけでは十分な成果は期待できません。

重要なのは、自社の健康課題を把握し、その原因に応じた改善策を実施することです。

例えば、健康診断の結果から生活習慣病リスクの高い従業員が多い場合は、食生活や運動習慣の改善支援が有効です。一方で、ストレスや睡眠不足が課題であれば、長時間労働の見直しやマネジメント改善、相談体制の整備などが必要になります。

また近年では、40〜50代の中核人材が親の介護と仕事の両立に悩み、心身の負担から生産性が低下したり離職を選択したりするケースも増えています。このようなビジネスケアラーへの支援も、健康経営の重要な取り組みの一つです。

健康経営は、一律の施策を行うのではなく、自社の健康課題に合わせて取り組むことで初めて成果につながります。

第2章 健康課題を見える化することが第一歩

健康診断結果を経営データとして活用する

健康経営を成功させる第一歩は、従業員の健康状態を正しく把握することです。

しかし、多くの企業では健康診断を毎年実施しているものの、その結果を「受診して終わり」にしてしまっています。

健康診断には、血圧や血糖値、脂質異常、BMI、肝機能など、企業の健康課題を把握するための貴重な情報が含まれています。これらを年代別・部署別・職種別に分析することで、「どの部署にどのような健康課題が多いのか」を把握できます。

例えば、営業部門では高血圧や睡眠不足が多く、管理部門では運動不足や肥満傾向が見られるなど、部門ごとに異なる傾向が見えてくることもあります。

こうした分析結果をもとに施策を検討することで、より効果的な健康経営を実践できます。

健康診断だけでは見えない課題もある

健康診断だけでは把握できない健康課題も少なくありません。

例えば、

  • 慢性的な疲労
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 人間関係の悩み
  • 親の介護による精神的・時間的負担

などは、健康診断の数値には表れにくい課題です。

そのため、健康経営ではストレスチェックやエンゲージメント調査、プレゼンティーイズム調査、従業員アンケートなどを組み合わせ、多面的に健康課題を把握することが重要です。

特に、親の介護と仕事を両立しているビジネスケアラーは、疲労や睡眠不足、精神的な負担を抱えながら働いているケースが多くあります。こうした課題を早期に把握し、相談窓口の設置や柔軟な働き方の導入などにつなげることが、人材定着や生産性向上にもつながります。

第3章 健康課題を経営課題として分析する

KPIは健康課題改善のための指標

健康経営ではKPI(重要業績評価指標)の設定が重要ですが、KPIそのものを目的にしてはいけません。

KPIは、健康課題が改善されているかを確認するための「ものさし」です。

例えば、

  • 健康診断受診率
  • 再検査受診率
  • ストレスチェック受検率
  • プレゼンティーイズム
  • アブセンティーイズム
  • 離職率
  • エンゲージメント

などを継続的に確認することで、実施した施策の効果を客観的に評価できます。

数値だけを追うのではなく、「なぜ改善したのか」「なぜ改善しなかったのか」を分析し、次の施策につなげることが重要です。

健康データと経営データを連携する

健康経営の成果を高めるためには、健康データだけでなく経営データと組み合わせて分析することが欠かせません。

例えば、健康診断結果やストレスチェックの結果を、離職率や残業時間、生産性、エンゲージメント、労働災害発生状況などの経営指標と比較することで、健康課題が企業経営に与えている影響を可視化できます。

また、改善施策を実施した後も定期的にデータを確認し、PDCAサイクルを回すことで、より効果的な健康経営を実現できます。

健康経営は一度取り組めば終わりではありません。健康課題を継続的に見える化し、改善を積み重ねることが、離職率の低下や労働生産性の向上、さらには企業価値の向上につながります。

第4章 離職率改善につながる健康経営施策

健康課題に応じた改善施策を実施する

健康課題を見える化し、KPIを設定した後は、課題に応じた改善施策を実施します。ここで重要なのは、すべての企業が同じ施策を行う必要はないということです。

例えば、健康診断の分析から生活習慣病リスクが高い従業員が多い場合は、食生活や運動習慣の改善支援、保健指導、禁煙支援などが有効です。

一方、ストレスや睡眠不足が課題であれば、長時間労働の見直しや管理職研修、相談窓口の設置など、働き方や職場環境の改善が重要になります。

また、従業員アンケートでエンゲージメントが低い場合には、1on1ミーティングの実施やキャリア面談、コミュニケーション活性化施策などが効果を発揮します。

このように、健康課題に合わせた施策を実施することで、離職率の低下や生産性向上につながりやすくなります。

ビジネスケアラー支援は離職防止の重要な施策

近年、企業にとって特に重要性が高まっているのがビジネスケアラー(仕事と介護を両立する従業員)への支援です。

高齢化の進展に伴い、40〜50代を中心とした中核人材が、親の介護と仕事の両立という課題に直面しています。

介護による睡眠不足や精神的負担、急な呼び出しへの対応などにより、プレゼンティーイズムの増加や欠勤、最終的には介護離職につながるケースも少なくありません。

企業が仕事と介護の両立支援に取り組むことで、

  • 離職率の低下
  • プレゼンティーイズムの改善
  • エンゲージメント向上
  • 人材定着
  • 採用力向上

など、多くの効果が期待できます。

2025年4月には育児・介護休業法が改正され、企業には介護と仕事の両立支援体制の整備がこれまで以上に求められています。健康経営を推進する上でも、ビジネスケアラー支援は欠かせない施策の一つといえるでしょう。

第5章 健康経営を企業価値向上につなげるポイント

PDCAを継続して成果につなげる

健康経営は、一度施策を実施すれば終わりではありません。

重要なのは、健康課題の改善状況を定期的に確認し、PDCAサイクルを継続的に回すことです。

例えば、

  • 健康診断結果は改善しているか
  • プレゼンティーイズムは減少しているか
  • 離職率は改善しているか
  • エンゲージメントは向上しているか

などを定期的に確認し、期待した成果が得られていない場合は、施策の見直しを行います。

継続的な改善を積み重ねることで、健康経営は「イベント」ではなく、企業文化として定着しやすくなります。

健康経営は企業価値を高める経営戦略

健康経営は、従業員の健康維持だけを目的とした取り組みではありません。

健康課題を改善することで、

  • 労働生産性の向上
  • 離職率の低下
  • エンゲージメント向上
  • 人材確保
  • 企業イメージ向上
  • 健康経営優良法人認定の取得

など、さまざまな経営効果につながります。

また、人的資本経営への関心が高まる中、健康経営への取り組みは、投資家や取引先、求職者からの評価にも影響を与える重要な要素となっています。

だからこそ、「健康施策を実施すること」を目的にするのではなく、「健康課題を経営課題として改善し続けること」が、企業価値向上への近道といえるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 健康経営は離職率改善にどれくらい効果がありますか?

企業によって成果は異なりますが、健康課題を把握し、継続的に改善することで、従業員満足度や働きやすさが向上し、離職率の改善が期待できます。

Q2. 健康経営は中小企業でも取り組めますか?

はい。まずは健康診断結果や従業員アンケートを活用し、自社の健康課題を把握することから始めることで、無理なく取り組めます。

Q3. KPIは何を設定すればよいですか?

健康診断受診率、再検査受診率、プレゼンティーイズム、アブセンティーイズム、離職率、エンゲージメントなど、自社の課題に合わせて設定することが重要です。

Q4. 健康経営優良法人認定を取得するメリットはありますか?

企業イメージや採用力の向上、従業員のエンゲージメント向上などが期待できます。また、健康経営への取り組みを社外へ分かりやすく発信できる点もメリットです。

Q5. 仕事と介護の両立支援は健康経営に含まれますか?

はい。仕事と介護の両立支援は、プレゼンティーイズムや介護離職の防止につながる重要な健康経営施策の一つです。

まとめ

健康経営は、従業員の健康づくりだけを目的とした取り組みではありません。

健康課題を見える化し、その改善を経営課題の解決につなげることが健康経営の本質です。

健康診断結果や従業員アンケートなどを活用して健康課題を把握し、KPIを設定した上で改善施策を継続することで、

  • 離職率の低下
  • 労働生産性の向上
  • エンゲージメント向上
  • 人材定着
  • 採用力向上

など、企業の持続的な成長につながります。

特に近年は、仕事と介護の両立支援や人的資本経営への対応も重要なテーマとなっています。健康経営を経営戦略の一つとして位置付け、継続的に取り組むことが企業価値の向上につながるでしょう。


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