健康経営で睡眠改善に取り組む方法|企業ができる施策とKPI
「日中に眠気を感じる従業員が多い」
「午後になると集中力が落ちている」
「睡眠不足が仕事のパフォーマンスに影響している気がする」
このような悩みを感じている企業も少なくありません。
睡眠不足は、従業員個人の生活習慣の問題として捉えられがちです。
しかし実際には、
- 長時間労働
- 不規則な勤務
- ストレス
- 運動不足
- 仕事と家庭の両立負担
など、職場環境や働き方が睡眠に影響している場合もあります。
そのため健康経営では、睡眠セミナーを実施するだけでなく、自社の睡眠課題を把握し、原因に合った施策を行い、KPIで効果を確認することが重要です。
本記事では、企業が健康経営の中で睡眠改善に取り組む方法、具体的な施策、KPIの設定例、取り組みを成果につなげるポイントまで分かりやすく解説します。
目次
1.なぜ健康経営で睡眠が重要なのか
1-1.睡眠不足は仕事のパフォーマンスに影響する
睡眠が十分に取れていない状態が続くと、
- 日中の眠気
- 集中力低下
- 判断力低下
- 疲労感
- 意欲低下
などが起こりやすくなります。
従業員が出勤していても、睡眠不足によって本来の能力を十分に発揮できていない場合があります。
このような状態は、プレゼンティーイズムの一因にもなります。
つまり、睡眠は単なる健康問題ではなく、生産性や仕事の質にも関係するテーマです。
1-2.睡眠不足の原因は個人だけにあるとは限らない
「早く寝ればよい」
「スマートフォンを控えればよい」
といった個人の生活改善も大切です。
一方で、
- 残業が多い
- 夜遅くまで仕事の連絡が来る
- 交代勤務がある
- ストレスが高い
- 通勤時間が長い
など、職場側に原因がある場合もあります。
そのため企業の睡眠対策では、
個人への健康支援
+
職場環境・働き方の改善
の両方を考える必要があります。
2.企業がまず確認したい睡眠課題
睡眠改善に取り組む前に、自社でどのような課題があるのかを把握します。
2-1.従業員アンケートで確認する
例えば、
- 睡眠で十分な休養が取れているか
- 日中に眠気を感じるか
- 仕事中に集中力が低下することがあるか
- 寝付きが悪いことがあるか
- 夜中や早朝に目が覚めることがあるか
- 睡眠時間を確保できているか
などを確認します。
重要なのは、単に「何時間寝ていますか」と聞くだけではありません。
睡眠によって十分に休養できているか、仕事に影響しているかまで確認すると、健康経営の施策につなげやすくなります。
2-2.勤怠データと合わせて見る
睡眠課題は、アンケートだけでなく、
- 残業時間
- 深夜勤務
- 休日出勤
- 有給休暇取得状況
- 欠勤状況
などと合わせて確認します。
例えば、
「睡眠不足を感じている部署で残業時間も長い」
のであれば、睡眠教育だけではなく業務量や働き方の見直しが必要かもしれません。
2-3.ストレスとの関係を見る
ストレスが高い状態では、
「寝付きが悪い」
「夜中に目が覚める」
「仕事のことを考えて眠れない」
といった睡眠問題が起こることがあります。
そのため、ストレスチェックや従業員アンケートと睡眠状況を合わせて確認することも有効です。
3.健康経営でできる睡眠改善施策
3-1.睡眠に関する情報提供・研修
取り組みやすい施策の一つが、睡眠に関する研修や情報提供です。
例えば、
- 睡眠の基本知識
- 就寝前の過ごし方
- 光やスマートフォンとの付き合い方
- 運動と睡眠
- 食事やカフェイン
- 昼寝の取り方
- 休日の睡眠
などがあります。
従業員が正しい知識を持つことで、自分自身の睡眠を見直すきっかけになります。
ただし、セミナーを開催すること自体を目的にしないことが重要です。
研修後に行動や睡眠状態が変化したかまで確認します。
3-2.長時間労働を見直す
睡眠時間を確保できない原因が長時間労働であれば、個人への健康教育だけでは改善しません。
例えば、
- 残業時間の把握
- 業務量の見直し
- 会議時間の削減
- ノー残業デー
- 勤務間の休息時間への配慮
など、働き方そのものを見直します。
「睡眠改善」と「働き方改革」を切り離さずに考えることが重要です。
3-3.ストレス対策を行う
睡眠問題の背景にストレスがある場合には、
- 相談窓口の整備
- 管理職研修
- 職場コミュニケーション改善
- 高ストレス者へのフォロー
- 業務負荷の見直し
なども必要になります。
睡眠だけを改善しようとするのではなく、なぜ眠れていないのかを確認します。
3-4.運動習慣を支援する
適度な運動習慣は、健康づくりの一環として睡眠にも関連します。
企業では、
- ウォーキング企画
- ストレッチ
- 運動イベント
- 階段利用促進
- 座り過ぎ対策
など、日常的に体を動かす機会を増やす施策が考えられます。
睡眠対策を単独施策にせず、運動・食事・ストレス対策などと組み合わせると健康づくり全体につながります。
3-5.相談・受診につなげる
従業員の中には、
- 強い日中の眠気
- 長期間続く不眠
- 大きないびき
- 睡眠中の呼吸停止を指摘された
など、専門的な相談が必要なケースもあります。
企業が診断するのではなく、必要に応じて産業医や医療機関への相談を促す仕組みを整えることが重要です。
4.睡眠改善で設定したいKPIの具体例
睡眠対策を行う場合は、施策を実施しただけで終わらないようKPIを設定します。
4-1.施策の実施状況を見るKPI
まずは、施策が従業員に届いているかを確認します。
例えば、
- 睡眠研修参加率
- 健康情報閲覧率
- 睡眠チェック回答率
- 健康相談利用率
などがあります。
ただし、これらはあくまで「施策を実施できたか」を見る指標です。
これだけで睡眠が改善したとは判断できません。
4-2.睡眠状態を見るKPI
次に、従業員の睡眠状態そのものを確認します。
例えば、
- 睡眠で休養が取れている従業員の割合
- 睡眠不足を感じる従業員の割合
- 日中に強い眠気を感じる従業員の割合
- 平均睡眠時間
- 寝付きや中途覚醒に関するアンケート結果
などがあります。
同じ質問を継続的に行うことで、施策前後の変化を確認できます。
4-3.仕事への影響を見るKPI
健康経営では、睡眠状態だけでなく、仕事への影響まで見ることが重要です。
例えば、
- プレゼンティーイズム
- 欠勤日数
- 遅刻・早退
- エンゲージメント
- 集中力に関するアンケート
- 疲労感に関するアンケート
などがあります。
例えば、
睡眠状態が改善した
↓
日中の眠気が減った
↓
集中力が改善した
↓
プレゼンティーイズムが改善した
という変化が確認できれば、睡眠対策と経営成果の関係が見えやすくなります。
5.睡眠改善のKPI設定例
例えば、自社のアンケートで「睡眠で十分に休養できていない従業員が多い」ことが分かったとします。
その場合、
健康課題
睡眠で十分に休養できていない従業員が多い
施策
睡眠研修+長時間労働対策+運動支援
KPI①
睡眠研修参加率
KPI②
睡眠で休養が取れている従業員割合
KPI③
残業時間
KPI④
プレゼンティーイズム
というように設定できます。
ここで重要なのは、
参加率だけではなく、行動・健康状態・仕事への影響まで段階的に見ることです。
6.健康経営で睡眠改善を進める5つのステップ
STEP1.睡眠課題を見える化する
従業員アンケート、勤怠データ、ストレスチェックなどから、自社の睡眠課題を把握します。
例えば、
「睡眠不足が多い」
だけでなく、
「特定部署で睡眠不足が多い」
「長時間労働者ほど睡眠で休養できていない」
「高ストレス者に睡眠問題が多い」
など、原因まで分析できると施策につなげやすくなります。
STEP2.原因を分析する
睡眠課題の原因が、
- 生活習慣
- 長時間労働
- ストレス
- 不規則勤務
- 家庭事情
のどこにあるのかを整理します。
原因によって、必要な施策は変わります。
STEP3.課題に合った施策を実施する
生活習慣が課題なら睡眠教育。
長時間労働が課題なら働き方改善。
ストレスが課題なら職場環境改善。
というように、原因に合わせて施策を選びます。
STEP4.KPIを設定する
施策を行う前に、
「何を改善したいのか」
「どの指標で判断するのか」
を決めます。
施策参加率だけでなく、睡眠状態やプレゼンティーイズムなども確認します。
STEP5.定点観測して改善する
睡眠は一度の施策で大きく変わるとは限りません。
同じ質問や指標を定期的に確認し、
課題把握
↓
施策実施
↓
KPI測定
↓
改善
というサイクルを続けます。
7.睡眠改善を成果につなげるためのポイント
7-1.「睡眠セミナーを開催した」で終わらせない
健康経営では、
「睡眠セミナーを開催した」
「参加率が80%だった」
という結果だけでは不十分です。
その後、
「睡眠で休養できる人が増えたのか」
「日中の眠気は減ったのか」
「仕事のパフォーマンスは改善したのか」
まで確認します。
7-2.個人の責任だけにしない
睡眠不足を、
「本人の生活習慣が悪い」
と考えるだけでは改善できない場合があります。
長時間労働や職場ストレスなど、会社側で改善できる要因がないかも確認します。
7-3.他の健康課題と合わせて考える
睡眠は、
- メンタルヘルス
- 運動
- 食生活
- 長時間労働
- プレゼンティーイズム
など、さまざまな課題と関係しています。
そのため睡眠対策を単独で考えるのではなく、健康課題全体を見える化したうえで優先順位を決めることが重要です。
FAQ
Q1.健康経営では睡眠改善に取り組む必要がありますか?
すべての企業が同じ施策を行う必要はありません。従業員アンケートなどから睡眠不足や日中の眠気が多く、仕事のパフォーマンスにも影響していると考えられる場合には、優先的に取り組む価値があります。
Q2.企業ができる睡眠改善施策には何がありますか?
睡眠研修や情報提供、長時間労働の見直し、ストレス対策、運動支援、相談体制の整備などがあります。重要なのは、自社の睡眠課題の原因に合わせて施策を選ぶことです。
Q3.睡眠改善ではどのようなKPIを設定すればよいですか?
睡眠研修参加率、睡眠で休養が取れている従業員の割合、睡眠不足を感じる割合、残業時間、プレゼンティーイズム、欠勤状況などが考えられます。施策実施だけでなく、健康状態と仕事への影響まで確認することが重要です。
Q4.睡眠時間が長ければ問題ないのでしょうか?
睡眠時間だけで十分とは限りません。本人が十分に休養できていると感じているか、日中に強い眠気がないか、仕事へ影響していないかなども合わせて確認することが大切です。
Q5.睡眠不足はプレゼンティーイズムに関係しますか?
睡眠不足によって日中の眠気や集中力低下、疲労感などが生じれば、出勤していても本来のパフォーマンスを発揮できない状態につながる可能性があります。そのため、睡眠とプレゼンティーイズムを合わせて確認することは有効です。
Q6.中小企業でも睡眠対策はできますか?
はい。まず簡単な従業員アンケートで睡眠状況を確認し、健康情報の提供や残業時間の見直しなど、小さな取り組みから始めることができます。大規模な施策よりも、自社の課題に合った対策を継続することが重要です。
まとめ
睡眠は、従業員の健康だけでなく、集中力や仕事のパフォーマンスにも関係する健康経営上の重要なテーマです。
ただし、
睡眠セミナーを開催する
だけでは十分ではありません。
健康経営として睡眠改善に取り組む場合は、
睡眠課題を見える化する
↓
原因を分析する
↓
課題に合った施策を行う
↓
KPIを設定する
↓
睡眠状態と仕事への影響を確認する
↓
継続的に改善する
という流れが重要です。
特に、睡眠不足を従業員個人の問題だけにせず、長時間労働や職場ストレスなど、会社側で改善できる要因も確認することがポイントです。
睡眠改善を単なる健康づくりで終わらせず、プレゼンティーイズム改善や生産性向上につながる健康経営の取り組みとして進めていきましょう。
従業員の「睡眠不足」、仕事への影響まで見えていますか?
「午後になると集中力が低下している」
「睡眠不足を感じる従業員が多い」
「健康施策を行っているが、効果が分からない」
このようなお悩みはありませんか?
株式会社ハンドレッドライフでは、健康診断、ストレスチェック、従業員アンケートなどを活用し、睡眠・ストレス・生活習慣・プレゼンティーイズムなどの健康課題を見える化することで、企業ごとの課題に合わせた健康経営の取り組みを支援しています。
睡眠セミナーなどの施策を実施するだけでなく、KPIを設定し、従業員の健康状態や仕事のパフォーマンスの変化まで確認することが重要です。
健康経営を「取り組むこと」で終わらせず、従業員の健康と生産性向上につなげたい企業様は、お気軽にご相談ください。
