企業の生活習慣病対策とは?健康経営で実践する予防と生産性向上
「健康診断で有所見者が多い」
「再検査を受けない従業員がいる」
「生活習慣の乱れが仕事のパフォーマンスにも影響しているのではないか」
このような課題を抱えている企業も少なくありません。
生活習慣病対策というと、健康診断や保健指導など、従業員個人の健康管理をイメージしがちです。
しかし健康経営では、生活習慣病対策を単なる病気の予防としてではなく、
従業員が健康で働き続けられる環境をつくり、生産性や人材定着につなげる取り組み
として考えることが重要です。
そのためには、健康診断を実施するだけでなく、
自社の健康課題を把握する
↓
生活習慣病リスクの高い要因を分析する
↓
課題に合った施策を実施する
↓
KPIで変化を確認する
という流れをつくる必要があります。
本記事では、企業が健康経営として取り組む生活習慣病対策について、具体的な施策、KPI、成果につなげるための進め方まで分かりやすく解説します。
目次
1.企業における生活習慣病対策とは
1-1.生活習慣病を予防するための取り組み
企業における生活習慣病対策とは、従業員の健康状態や生活習慣を把握し、必要な予防・改善支援を行う取り組みです。
代表的なテーマには、
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常
- 肥満
- 運動不足
- 食生活の乱れ
- 喫煙
- 睡眠不足
などがあります。
これらは一つの要因だけで起こるものではなく、日々の生活習慣や働き方、ストレスなどが複雑に関係する場合があります。
そのため企業では、
健康診断を受けてもらうこと
だけではなく、
結果を確認し、その後の受診や生活改善につなげること
まで考えることが重要です。
1-2.健康診断を実施するだけでは十分ではない
企業では定期健康診断を実施していても、
「異常を指摘されたが再検査を受けていない」
「保健指導の対象になっても生活が変わっていない」
「毎年同じ項目で有所見になっている」
というケースもあります。
つまり、
健康診断を受ける
↓
結果を確認する
↓
必要な受診につなげる
↓
生活習慣を改善する
↓
翌年の結果を確認する
という流れができているかが重要です。
健康診断はゴールではなく、健康課題を把握するための入り口と考える必要があります。
2.なぜ企業が生活習慣病対策に取り組む必要があるのか
2-1.従業員の健康問題は仕事にも影響する
生活習慣病やその前段階の健康不調は、従業員本人の問題だけではありません。
例えば、
- 疲れやすい
- 集中力が続かない
- 通院が増える
- 欠勤が増える
- 仕事中の体調不良が起こる
など、仕事にも影響する可能性があります。
出勤していても健康上の問題によって本来の能力を十分に発揮できない状態は、プレゼンティーイズムにもつながります。
そのため企業にとって生活習慣病対策は、健康管理だけでなく、生産性を維持するための取り組みでもあります。
2-2.従業員の高齢化への対応
従業員の年齢が上がるにつれて、生活習慣病リスクへの対応が重要になる企業もあります。
経験や専門知識を持った従業員が健康上の理由で十分に働けなくなると、本人だけでなく組織にも影響します。
特に中堅・管理職などの中核人材が体調を崩せば、
- 業務の停滞
- 周囲への負担増加
- 欠勤・休職
- 人材配置への影響
などにつながる可能性があります。
そのため生活習慣病対策は、人材を長く活かすための取り組みという視点も必要です。
3.企業がまず確認したい生活習慣病の健康課題
3-1.健康診断データを確認する
まず確認したいのが健康診断です。
例えば、
- 有所見率
- 再検査・精密検査の対象者数
- 再検査受診率
- 血圧
- 血糖
- 脂質
- BMI
などを確認します。
重要なのは、単に会社全体の平均を見るだけではありません。
可能であれば、
- 年代別
- 部署別
- 職種別
などで違いを確認すると、自社の特徴が見えやすくなります。
例えば、
「40代以上で有所見者が増えている」
「特定部署で肥満傾向が多い」
「再検査対象者は多いが受診率が低い」
といった課題が見えてきます。
3-2.生活習慣を確認する
健康診断結果だけでは、原因まで分からないことがあります。
そこで従業員アンケートなどを活用し、
- 運動習慣
- 食生活
- 睡眠
- 喫煙
- 飲酒習慣
- ストレス
- 座っている時間
なども確認します。
例えば、
有所見率が高い
+
運動習慣が少ない
+
長時間座っている人が多い
という状況であれば、運動不足への対策が優先課題の一つになります。
3-3.働き方との関係を見る
生活習慣は個人だけの問題とは限りません。
例えば、
- 残業が多く運動する時間がない
- 夜遅くまで働き食事時間が不規則
- ストレスが高い
- 睡眠時間が確保できない
など、働き方が影響している場合もあります。
そのため生活習慣病対策では、健康指導だけでなく、職場環境や働き方にも目を向けることが重要です。
4.企業ができる生活習慣病予防の具体的な施策
4-1.健康診断後のフォロー
最初に取り組みたいのが、健康診断後のフォローです。
例えば、
- 再検査・精密検査の受診勧奨
- 保健指導
- 産業医への相談
- 健康相談
- 継続的なフォロー
などがあります。
健康診断を受診して終わりにせず、必要な人が適切な医療や支援につながっているかを確認します。
4-2.運動習慣を増やす
運動不足が課題であれば、
- ウォーキング
- ストレッチ
- 運動イベント
- 階段利用
- 座り過ぎ対策
- オンライン運動プログラム
などが考えられます。
ただしイベントを一度開催するだけでは、生活習慣の改善につながらないこともあります。
「運動イベント参加者数」だけでなく、運動習慣が定着したかを確認することが重要です。
4-3.食生活を支援する
食生活については、
- 栄養に関する情報提供
- 管理栄養士による相談
- 健康的な食事の選択肢を増やす
- 食習慣アンケート
- 健康診断結果に応じた支援
などがあります。
「健康的な食事をしてください」と伝えるだけではなく、従業員が実践しやすい環境を整えることがポイントです。
4-4.禁煙支援
喫煙率が高い場合には、
- 禁煙情報の提供
- 禁煙相談
- 禁煙外来に関する情報提供
- 就業時間中の喫煙ルールの見直し
などが考えられます。
一律に押し付けるのではなく、本人が行動を変えるきっかけをつくる支援が重要です。
4-5.睡眠・ストレス対策
睡眠不足や高ストレス状態が続くと、健康的な生活習慣を維持することも難しくなります。
そのため、
- 睡眠に関する情報提供
- 長時間労働対策
- ストレスチェック
- 相談体制
- 職場環境改善
などを組み合わせます。
生活習慣病対策を、運動や食事だけで考えないことが重要です。
5.生活習慣病対策で設定したいKPI
健康経営では、施策を実施しただけで終わらせず、KPIで変化を確認します。
5-1.取り組み状況を見るKPI
例えば、
- 健康診断受診率
- 再検査・精密検査受診率
- 保健指導実施率
- 健康相談利用率
- 健康イベント参加率
などがあります。
これらは、施策が従業員へ届いているかを確認する指標です。
5-2.健康状態・行動を見るKPI
次に、
- 運動習慣者割合
- 喫煙率
- 適正体重者割合
- 睡眠で休養が取れている割合
- 健康診断有所見率
- 生活習慣改善率
などを確認します。
重要なのは、
参加したか
ではなく、
行動や健康状態が変わったか
を見ることです。
5-3.仕事への影響を見るKPI
さらに健康経営として成果を確認する場合には、
- プレゼンティーイズム
- アブセンティーイズム
- 欠勤日数
- 休職者数
- エンゲージメント
なども確認します。
例えば、
運動習慣が増えた
↓
体調不良が減った
↓
プレゼンティーイズムが改善した
という変化が見えれば、生活習慣病対策を生産性向上と結び付けて考えやすくなります。
6.生活習慣病対策を進める5つのステップ
STEP1.健康課題を見える化する
まず健康診断、従業員アンケート、勤怠データなどを確認します。
例えば、
「有所見率が高い」
だけでなく、
「どの年代に多いのか」
「再検査を受けているのか」
「運動や睡眠など何が関係しているのか」
まで整理します。
STEP2.優先課題を決める
すべてを一度に改善しようとすると、取り組みが分散します。
例えば、
- 再検査受診率が低い
- 運動不足が多い
- 喫煙率が高い
- 睡眠不足が多い
などの中から、自社として優先する課題を決めます。
STEP3.課題に合った施策を選ぶ
例えば、
再検査受診率が低い
→ 受診勧奨・フォロー
運動不足が多い
→ 運動習慣支援
食生活が課題
→ 栄養支援
睡眠不足が多い
→ 睡眠支援+働き方改善
というように施策を選びます。
STEP4.KPIを設定する
施策を行う前に、
「何が改善すれば成果と判断するのか」
を決めます。
例えば、
課題:再検査を受けない人が多い
施策:受診勧奨
KPI:再検査受診率
というように設定します。
STEP5.定点観測して改善する
生活習慣は短期間で大きく変わらないこともあります。
そのため、
健康課題を把握
↓
施策を実施
↓
KPIを確認
↓
改善策を検討
↓
再度測定
というサイクルを継続します。
7.生活習慣病対策を生産性向上につなげるポイント
7-1.「健康診断受診率100%」だけをゴールにしない
健康診断を全員が受けることは重要です。
しかし、受診率が100%でも、
「再検査を受けていない」
「生活習慣が改善していない」
のであれば、健康課題が改善したとはいえません。
そのため、
健康診断受診
↓
受診後フォロー
↓
行動変容
↓
健康状態改善
まで確認します。
7-2.個人任せにしない
生活習慣病対策では、
「本人が運動すればよい」
「本人が食生活を変えればよい」
と考えてしまいがちです。
しかし、
- 長時間労働
- ストレス
- 不規則な勤務
- 休憩を取りにくい環境
などが生活習慣に影響している場合もあります。
企業側で改善できる環境要因がないかを確認することが大切です。
7-3.プレゼンティーイズムまで確認する
健康経営として考える場合、健康診断数値だけでなく、
健康課題が仕事にどう影響しているのか
を見ることも重要です。
生活習慣病そのものだけでなく、
- 疲労
- 睡眠不足
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
などの不調によって仕事の能率が低下している場合もあります。
健康状態とプレゼンティーイズムを合わせて確認することで、企業として優先すべき健康課題を判断しやすくなります。
FAQ
Q1.企業の生活習慣病対策では何から始めればよいですか?
まず健康診断結果を確認し、有所見率、再検査対象者、再検査受診率などから自社の課題を把握します。そのうえで、運動、食事、睡眠、喫煙などの生活習慣も確認し、優先すべき課題を決めます。
Q2.健康診断を実施していれば生活習慣病対策として十分ですか?
健康診断は重要ですが、それだけでは十分とはいえません。異常が見つかった従業員が再検査や医療機関を受診しているか、生活習慣の改善につながっているかまで確認することが重要です。
Q3.企業ができる生活習慣病予防には何がありますか?
健康診断後の受診勧奨、保健指導、運動支援、食生活改善、禁煙支援、睡眠対策、ストレス対策などがあります。自社の健康課題に合わせて施策を選ぶことが重要です。
Q4.生活習慣病対策ではどのようなKPIを設定すればよいですか?
再検査受診率、保健指導実施率、運動習慣者割合、喫煙率、適正体重者割合、健康診断有所見率などが考えられます。さらに健康経営では、プレゼンティーイズムや欠勤など仕事への影響も確認するとよいでしょう。
Q5.生活習慣病対策は生産性向上につながりますか?
生活習慣病対策を行えば必ず生産性が向上するとは限りません。ただし、健康課題による疲労や体調不良、欠勤、プレゼンティーイズムなどが改善すれば、仕事のパフォーマンス改善につながる可能性があります。
Q6.中小企業でも生活習慣病対策はできますか?
はい。まず健康診断後の再検査受診状況を確認したり、簡単な従業員アンケートで運動・食事・睡眠などの課題を把握したりするところから始められます。大規模な施策よりも、自社の課題に合った取り組みを継続することが重要です。
まとめ
企業の生活習慣病対策は、健康診断を実施するだけではありません。
重要なのは、
健康課題を見える化する
↓
生活習慣病リスクの原因を分析する
↓
優先順位を決める
↓
課題に合った施策を実施する
↓
KPIで変化を確認する
↓
継続的に改善する
という流れです。
そして健康経営として取り組む場合には、健康診断数値だけでなく、
従業員の行動が変わったか
体調が改善したか
プレゼンティーイズムや欠勤など仕事への影響が変わったか
まで確認することが重要です。
生活習慣病対策を従業員個人の自己管理だけに任せず、働き方や職場環境も含めて考えることで、従業員が健康で能力を発揮し続けられる職場づくりにつなげていきましょう。
健康診断の「結果」、その後の健康経営に活かせていますか?
「健康診断で有所見者が多い」
「再検査を受けていない従業員がいる」
「生活習慣病対策をしているが、成果が分からない」
このようなお悩みはありませんか?
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