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健康経営KPIの具体例|中小企業が既存データで始める目標設定と見直し方

健康経営KPIの具体例|中小企業が既存データで始める目標設定と見直し方

健康診断の受診状況は確認しているものの、その後の健康づくり施策が役立っているかは分からない。アンケートを実施しても、どの結果を目標にすればよいのか迷う。健康経営を担当するなかで、こうした悩みを抱えていませんか。

KPIは、取り組みの進み具合や、目指す変化を確かめるための指標です。大がかりなシステムや専任部署がなくても、健診の集計情報、簡易アンケート、施策への参加記録などを使って設定できます。

重要なのは、指標をたくさん並べることではありません。自社の課題に合うものを少数選び、定期的に確認して次の改善につなげることです。この記事では、手元にある情報からKPIを選び、目標設定、施策の実施、効果測定、見直しへと進める方法を解説します。

1.KPIで「施策の実施」と「目指す変化」をつなぐ

健康経営では、施策を実施するだけでなく、その内容が自社の課題に合っているかを確認することが大切です。KPIを設定すると、何を目指し、どのように進捗を確かめるのかが明確になります。

たとえば睡眠に関する健康教育を行う場合、開催回数だけでは、情報が従業員に届いたか、行動につながったかは分かりません。次のように、施策の段階に応じて確認できます。

  • 実施状況:開催回数
  • 認知・参加:参加率、内容を知っている人の割合
  • 行動:睡眠を意識した行動を取り入れた人の割合
  • 健康課題や業務への影響:睡眠の悩みや仕事中の不調に関する回答の傾向

すべてを一度に測る必要はありません。まずは「施策を実施できたか」と「従業員にどのような変化があったか」を確認できる指標を選びましょう。

KPIは、健康状態と業績の因果関係を単純に評価するためのものではありません。健康課題や施策の状況を把握し、次の行動を決めるために活用します。

2.解決したい課題と対象者を絞る

KPIを考える前に、何を改善したいのかを一つ選びます。健康経営全体を一度に測ろうとすると指標が増え、集計や運用の負担も大きくなります。

手元にある情報から、気になる点や従業員の声を確認しましょう。たとえば、健診の受診状況、ストレスチェックの集団分析、睡眠や運動に関するアンケート、健康施策への参加状況、休暇や欠勤の集計情報などが手掛かりになります。

「健診後の案内が十分に届いていない」「運動不足を感じている人が多い」「疲労や睡眠の悩みが目立つ」といった仮説が見つかったら、必要に応じて従業員や管理職の意見も聞きます。データだけで原因を決め付けず、現場の実情と照らし合わせることが大切です。

対象者も明確にします。全従業員を対象にするのか、特定の事業所や勤務形態を対象にするのかによって、施策や集計方法は変わります。初めて取り組む場合は、課題が比較的はっきりしている対象から始めても構いません。

健診結果やストレスチェックの情報は慎重に扱い、個人の健康情報を人事評価や処遇に結び付けないようにします。個人の健康相談や医学的判断が必要な場合は、産業医、保健師、医療機関などにつなぐ体制を整えましょう。

3.既存データから測りやすいKPIを選ぶ

新たなシステムを導入しなくても、すでに記録している情報や短いアンケートからKPIを設定できます。

課題・施策の例KPIの例確認方法
健康情報を知ってもらう健康情報の認知率簡易アンケート
運動習慣を後押しする施策への参加率、運動を意識する人の割合参加記録、アンケート
睡眠の悩みを把握する睡眠に関する困りごとの回答割合匿名アンケート
仕事中の不調を把握する不調により仕事で力を発揮しにくいと感じる人の割合任意の簡易調査

指標を選ぶ際は、課題との関係だけでなく、誰がどの資料から数値を集めるのか、定期的に確認できるか、結果を受けて対応を考えられるかも確かめます。

プレゼンティーイズム(出勤していても、健康上の不調などにより仕事のパフォーマンスを発揮しにくい状態)を把握する場合は、質問内容や回答期間をそろえることが大切です。前回と条件が異なると、結果を比較しにくくなります。また、自己申告の結果を個人評価に使ったり、会社全体の生産性を断定したりしないようにしましょう。

施策の実施状況を示す指標と、従業員の認知・行動・状態に関する指標を組み合わせると、次の改善を考えやすくなります。

4.目標値は現状を基準に決める

目標値は、他社や業界の数値をそのまま当てはめるのではなく、自社の現状を基準に考えます。初めて測る指標なら、まず一定期間の実績を確認し、その数値を基準値として次の目標を設定できます。

たとえば、健康情報の認知率を初めて調べる場合は、簡易アンケートで現状を確認します。その後、朝礼や社内ポータルで情報を届け、同じ質問で変化を確かめます。目標値は、現在の状況、対象者数、使える時間や予算を考慮して決めましょう。

目標は、次の項目を整理すると共有しやすくなります。

  • 目的:健康情報を従業員に届ける
  • KPI:情報を認知している人の割合
  • 基準値:初回アンケートの結果
  • 目標と期限:次回確認までに目指す水準
  • 実施内容:朝礼での案内、社内掲示など
  • 担当者・確認方法:担当者がアンケートを集計

目標を高く設定しすぎると、達成のために数値を埋めることが目的になりかねません。まずは無理なく実行できる水準にし、測定結果を見ながら調整しましょう。

5.KPIに合わせて施策を設計し、社内に伝える

KPIを決めたら、課題に対して誰に何を届けるのかを考えます。施策は、対象者の働き方や情報の受け取り方に合わせて選びましょう。

健診後の対応状況をKPIにするなら、対象者に必要な案内が届いているかを確認します。健康情報の認知率を高めたいなら、社内ポータル、メール、掲示板、朝礼など、従業員が普段使う手段を活用します。睡眠や運動がテーマなら、短時間の健康教育や、実践しやすい工夫の共有から始められます。

施策を始める前には、従業員に目的を伝えます。たとえば、「個人を評価するためではなく、会社として利用しやすい健康支援を考えるため、全体の傾向を確認します」と説明すると、取り組みの意図が伝わりやすくなります。アンケートを行う場合は、質問内容、結果を見る人、活用方法もあわせて知らせましょう。

管理職には、参加を強制するのではなく、情報が届く環境づくりや、参加しにくい事情を担当者に伝える役割を依頼します。健康上の相談を受けたときは、上司だけで判断せず、社内の相談窓口や専門職につなぐことも共有しておきます。

6.専任担当がいなくても続けられる運用にする

専任部署がない企業では、担当者を一人決め、経営者や総務、労務、管理職と役割を分ける方法が現実的です。担当者がすべてを抱え込まず、既存の業務や会議に確認の時間を組み込みましょう。

たとえば、次の順で進められます。

  1. 窓口となる担当者を決める
    経営者や管理職に協力を依頼し、誰が何を確認するかを共有します。
  2. 既存情報から課題を一つ選ぶ
    健診の集計情報、既存アンケート、施策の参加記録などを確認します。
  3. 小さな施策を実施する
    朝礼での情報共有、短時間の健康教育、簡易アンケートなど、負担の少ない方法から始めます。
  4. 既存の会議で結果を確認する
    毎月、四半期など続けやすい間隔を決め、参加状況や従業員の反応を見ます。
  5. 次の施策を調整する
    情報が届いていない場合は周知方法を変えるなど、数値と現場の声をもとに見直します。

人員や予算が限られていても、健康診断、ストレスチェック、簡易アンケート、社内会議や朝礼など、すでにある仕組みを活用できます。自社だけでの対応が難しい場合は、産業医、保健師、健康保険組合、自治体、外部の専門家に相談する方法もあります。企業が診断や治療を行うのではなく、必要に応じて専門職や医療機関につなぎましょう。

7.複数の指標で効果を確認し、一定期間後に見直す

施策の効果を確認するときは、実施したかどうかだけでなく、認知率、参加率、行動の変化、相談利用、健康課題に関する指標などから、テーマに合うものを選びます。満足度だけでは、情報が届いたか、実際の行動につながったかまでは分からないためです。

健康教育を実施した場合は、開催回数や参加率に加え、内容を知っている人の割合や、取り上げた行動を意識している人の割合を確認できます。仕事中の不調が課題なら、同じ設問を一定の間隔で尋ね、回答の傾向を見ます。健診関連の指標を使う場合は、取り扱いに配慮した集計情報を活用します。

測定頻度は指標に合わせて設定します。参加状況は施策の実施ごとに記録し、認知や行動に関するアンケートは施策の前後や一定期間後に確認する方法があります。すべてを毎月測る必要はありません。担当者が無理なく続けられる頻度を選びましょう。

期待した変化が見られない場合も、施策が無意味だったとは限りません。情報が届いていないのか、参加しにくい時間帯なのか、施策の内容が課題と合っていないのかを確かめます。数値だけでなく、従業員の声や実施にかかった負担も振り返り、次の取り組みを調整してください。

FAQ

Q1.健康経営KPIは何個設定すればよいですか?

最初は課題を一つ選び、施策の実施状況と従業員の変化を確認できる少数の指標から始めると運用しやすくなります。指標の数より、定期的に集計して次の施策に生かせるかを優先しましょう。

Q2.初めて取り組む場合、目標値はどう決めればよいですか?

まず現状を測り、その数値を基準にして次の期間に目指す水準を決めます。他社の数値をそのまま当てはめる必要はありません。対象者数や施策に使える時間、予算も考慮し、結果を見ながら調整します。

Q3.健康診断の結果をKPIに使ってもよいですか?

健診結果は健康課題を把握する情報の一つですが、個人情報として慎重に扱う必要があります。利用目的や範囲を明確にし、必要な範囲で集計した情報を活用しましょう。個人の健康相談や医学的判断は、産業医、保健師、医療機関などにつなぎます。

Q4.簡易アンケートでプレゼンティーイズムを把握できますか?

仕事中の不調や業務への影響に関する傾向を把握する方法の一つです。ただし、質問内容や対象期間、回答方法をそろえないと、前後の比較が難しくなります。個人評価には使わず、施策を検討するための集計情報として扱いましょう。

Q5.施策を実施しても数値が変わらないときは、どうすればよいですか?

情報が対象者に届いているか、参加しやすい方法や時間か、施策の内容が課題に合っているかを確認します。従業員や管理職の声も参考にし、周知方法や実施方法を調整してください。変化が見られない理由を確かめることも、次の改善につながります。

まとめ

健康経営KPIは、取り組みの進捗と目指す変化を確認し、次の施策を決めるための指標です。まずは自社の課題を一つ選び、健診の集計情報、簡易アンケート、施策の参加記録など、すでにある情報から測りやすい指標を設定しましょう。

次に、担当者と目標、実施する施策を決め、従業員に目的や情報の扱いを伝えます。一定期間後に、認知率や参加率、行動の変化などを確認し、従業員の声も踏まえて見直します。まずは手元の情報を一つ確認し、担当者と最初の課題を決めることから始めてみてください。

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株式会社ハンドレッドライフでは、企業の健康経営を支援しています。健診情報やアンケートを活用した健康課題の可視化、KPIやアンケートの設計、プレゼンティーイズム対策、施策の社内周知、効果測定など、企業の状況に応じたご相談が可能です。専任担当がいない場合や、何から始めるか迷っている場合も、自社で続けられる進め方を検討するところからご相談いただけます。