福利厚生とは?健康経営との違いと人材定着につながる実践方法
人材不足が深刻化する中、企業にとって「従業員に長く働いてもらうこと」は重要な経営課題となっています。そのため、福利厚生を充実させ、働きやすい職場づくりを進める企業も増えています。
しかし、「福利厚生を増やしているのに利用されない」「従業員満足度や定着率の改善につながっているかわからない」という企業も少なくありません。
重要なのは、福利厚生を単に制度やサービスを増やすことではなく、従業員が抱える健康課題や働き方の課題を把握し、自社に必要な施策を選ぶことです。
本記事では、福利厚生の基本的な考え方から健康経営との違い、企業が福利厚生を導入するメリット、健康経営や人材定着につなげるための具体的な進め方まで分かりやすく解説します。
目次
1.福利厚生とは
1-1.福利厚生の基本的な考え方
福利厚生とは、企業が従業員やその家族の生活・健康・働きやすさを支援するために提供する制度やサービスです。
福利厚生には、法律で企業に実施が求められるものだけでなく、企業が独自に提供する制度やサービスもあります。
例えば、
- 健康診断
- 住宅支援
- 食事補助
- 育児・介護支援
- 健康相談
- 運動支援
- メンタルヘルス支援
- 自己啓発支援
などがあります。
福利厚生を充実させることで、従業員が安心して働ける環境づくりにつながります。
1-2.福利厚生が注目される理由
現在、多くの企業が福利厚生を見直しています。
その背景には、
- 人材不足
- 採用競争の激化
- 従業員の価値観の多様化
- 仕事と育児・介護の両立
- 健康課題の複雑化
などがあります。
給与だけでは企業の魅力を十分に伝えにくくなり、「どのような環境で働けるのか」も企業選びの重要な要素となっています。
そのため、福利厚生は従業員を支援するだけでなく、人材採用・定着を支える施策としても重要になっています。
2.福利厚生と健康経営の違い
2-1.福利厚生は制度、健康経営は経営戦略
福利厚生と健康経営は密接に関係していますが、同じものではありません。
福利厚生は、従業員に提供する制度やサービスです。
一方、健康経営は、従業員の健康保持・増進への取り組みを経営的な視点で捉え、生産性向上や人材定着、企業価値向上につなげる考え方です。
例えば、企業が運動プログラムを導入した場合、提供すること自体は福利厚生です。
健康経営ではさらに、
「なぜ運動支援が必要なのか」
「どの健康課題を改善するのか」
「施策によって何が変わったのか」
まで確認します。
つまり、福利厚生を健康経営の施策として戦略的に活用することが重要です。
2-2.福利厚生は増やせばよいわけではない
福利厚生の種類を増やせば、必ず従業員満足度や定着率が上がるわけではありません。
例えば、運動不足が課題ではない企業が運動プログラムだけを充実させても、従業員が求めている支援と合わない可能性があります。
一方、
- 睡眠不足
- メンタルヘルス
- 生活習慣病
- 育児
- 家族介護
など、自社の従業員が実際に抱えている課題を把握したうえで施策を選べば、福利厚生の効果を高めやすくなります。
3.福利厚生を充実させるメリット
3-1.人材定着やエンゲージメント向上につながる
福利厚生によって従業員が、
「会社が自分たちの生活や健康を考えてくれている」
と感じることは、会社への安心感や信頼感につながります。
特に、
- 健康相談
- メンタルヘルス支援
- 育児支援
- 介護支援
- 柔軟な働き方
などは、働き続けるうえで抱える不安を軽減する役割があります。
従業員のニーズに合った福利厚生を整えることで、人材定着やエンゲージメント向上につながることが期待できます。
3-2.採用力の向上にもつながる
福利厚生は、採用活動でも企業の魅力を伝える材料になります。
特に、給与や仕事内容だけでは企業間の違いが伝わりにくい場合、
- 健康支援
- 育児・介護支援
- 休暇制度
- 柔軟な働き方
- キャリア支援
などは、求職者にとって企業を選ぶポイントになります。
ただし、制度があるだけでは十分ではありません。
実際に利用しやすいことや、従業員に制度が認知されていることも重要です。
4.健康経営につながる福利厚生
4-1.従業員の健康を支える福利厚生
健康経営につながる代表的な福利厚生として、
- 健康診断後のフォロー
- 栄養・食生活支援
- 運動習慣支援
- 睡眠改善
- 禁煙支援
- メンタルヘルス相談
- 女性の健康支援
などがあります。
重要なのは、一律に導入するのではなく、健康診断やストレスチェック、従業員アンケートなどから自社の健康課題を把握したうえで施策を選ぶことです。
例えば、健康診断で生活習慣病リスクが高い従業員が多ければ、栄養・運動支援の優先度が高くなります。
ストレスや睡眠不足が課題であれば、相談体制や働き方を含めた改善が必要です。
4-2.仕事と介護の両立支援も重要な福利厚生
高齢化が進む中、福利厚生として今後さらに重要になるのが、仕事と介護の両立支援です。
親などの介護が始まると、
- 介護制度が分からない
- どこへ相談すればよいか分からない
- 介護費用への不安がある
- 急な対応で仕事に影響する
- 心身の疲労が蓄積する
といった問題が起こることがあります。
企業では、
- 介護相談窓口
- 介護セミナー
- 両立支援制度の周知
- 管理職研修
- 柔軟な働き方
などを整えることで、従業員が仕事と介護を両立しやすい環境をつくることができます。
介護制度の詳しい情報を提供するだけでなく、従業員が「相談できる環境」を整えることも重要です。
5.成果につながる福利厚生の進め方
5-1.STEP1 従業員の課題を見える化する
まず、どのような福利厚生が必要なのかを把握します。
健康診断やストレスチェックに加えて、
- 従業員アンケート
- 福利厚生の利用状況
- 有給休暇取得状況
- 欠勤・休職状況
- 離職理由
などを確認します。
「会社が提供したい制度」ではなく、従業員が実際に抱えている課題から考えることが重要です。
5-2.STEP2 優先順位を決める
課題が把握できたら、改善の必要性や経営への影響を踏まえて優先順位を付けます。
例えば、
介護離職のリスクが高まっている
→仕事と介護の両立支援
生活習慣病リスクが高い
→健康診断後のフォロー
高ストレス者が多い
→メンタルヘルス支援
というように、課題と福利厚生を結び付けます。
5-3.STEP3 利用しやすい仕組みをつくる
良い制度でも、利用されなければ十分な効果は得られません。
- 制度が知られていない
- 申請方法が分からない
- 利用すると評価に影響しそう
- 上司へ相談しにくい
といった理由で利用されないケースも考えられます。
制度の周知だけでなく、利用しやすい職場環境づくりも重要です。
5-4.STEP4 効果を確認する
福利厚生は、導入して終わりではありません。
例えば、
- 制度利用率
- 従業員満足度
- エンゲージメント
- プレゼンティーイズム
- 欠勤・休職
- 離職率
などを確認し、施策が課題改善につながっているかを評価します。
効果が十分でなければ、制度そのものや周知方法を見直します。
6.福利厚生を健康経営・人的資本経営につなげる
福利厚生を企業価値向上につなげるためには、単独の制度として考えるのではなく、健康経営や人的資本経営の中に位置付けることが重要です。
例えば、
従業員の健康課題を見える化する
↓
必要な福利厚生を選択する
↓
従業員の健康・働きやすさを改善する
↓
生産性・エンゲージメントを高める
↓
人材定着・企業価値向上につなげる
という流れです。
福利厚生を「会社から従業員へのサービス」と考えるだけではなく、人への投資として戦略的に活用することが、これからの企業には求められます。
FAQ
Q1.福利厚生とは何ですか?
福利厚生とは、企業が従業員やその家族の生活、健康、働きやすさなどを支援するために提供する制度やサービスです。
Q2.福利厚生と健康経営の違いは何ですか?
福利厚生は従業員に提供する制度やサービスです。健康経営は、それらの健康施策を経営課題と関連付け、生産性や人材定着、企業価値向上につなげる経営的な取り組みです。
Q3.福利厚生を充実させれば定着率は上がりますか?
制度を増やすだけで定着率が上がるとは限りません。従業員の課題やニーズを把握し、それに合った福利厚生を導入・改善することが重要です。
Q4.中小企業でも福利厚生を充実させられますか?
はい。大規模な制度を導入しなくても、相談窓口、健康情報の提供、セミナー、柔軟な働き方など、自社の課題に応じて小規模から始めることができます。
Q5.仕事と介護の両立支援も福利厚生になりますか?
はい。介護相談、情報提供、セミナー、柔軟な働き方などは、従業員が安心して働き続けるための重要な福利厚生施策の一つです。
まとめ
福利厚生は、単に従業員へさまざまなサービスを提供することではありません。
従業員が抱える健康や働き方の課題を把握し、自社に必要な制度やサービスを選び、利用しやすい環境を整えることが重要です。
特に、
- 健康支援
- メンタルヘルス
- 仕事と介護の両立支援
- 柔軟な働き方
などは、人材不足が進む企業にとって重要性が高まっています。
健康課題の見える化 → 必要な福利厚生の選択 → 利用促進 → 効果検証
という流れで取り組むことで、福利厚生を従業員満足度の向上だけでなく、生産性向上、人材定着、エンゲージメント向上につなげることができます。
福利厚生を「コスト」ではなく「人への投資」と捉え、健康経営や人的資本経営と連携させていくことが大切です。
福利厚生を「ある制度」から「活用される制度」へ
「福利厚生を充実させているのに利用されない」「従業員が何を求めているのか分からない」「人材定着につながる制度を検討したい」とお悩みの企業も少なくありません。
株式会社ハンドレッドライフでは、健康課題の見える化を起点に、従業員アンケートなどを活用して課題を整理し、健康経営、エンゲージメント向上、仕事と介護の両立支援など、企業ごとに必要な施策の検討をサポートしています。
制度を増やすことからではなく、「従業員が何に困っているのか」を把握することから始めませんか。
人材定着や生産性向上につながる福利厚生を検討したい企業様は、お気軽にご相談ください。
